登入知り合ってから20ヶ月。紆余曲折を経て無事にゴールインした篠沢絢乃・貢夫妻。今日はそんな二人の結婚式&結婚披露パーティー! 絢乃が会長を務める大財閥〈篠沢グループ〉の中枢・篠沢商事の社員、絢乃の親友たち、二人の親族……。たくさんの人たちが、8歳差の年の差カップルの結婚をお祝いに来てくれた。 結婚披露パーティーが終わり、二人は四泊五日の新婚旅行へ。行先は海外ではなく、兵庫県の神戸・淡路島方面。 彼女たちはそこで、一年前に出張で訊ねた神戸支社の川元支社長と再会。 旅先では仕事のことを忘れ、毎日イチャイチャする二人なのだった……。 『トップシークレット☆』のその後を描いた、甘々アフターストーリー♡
查看更多「でも、ちょっと予想外だったなぁ。まぁ、いきなり殴りかかるよりはよかったけど」 もし万が一相手にケガでもさせてしまったら、楽しい新婚旅行どころではなくなってしまう。今はもう辞めてしまったけど、彼は一応格闘技を習っていたのだ。「さすがにそれはマズいと思いとどまったんで。というか、ナンパされたのって絢乃さんにも原因があったんじゃないですか」「……えっ、なんか怒ってる? わたしにも」「絢乃さんはいつも無防備すぎるんですよ! 心配しっぱなしの僕の身にもなって下さい!」「……え?」 どうしてわたしは彼に怒られてるんだろう? 無防備ってどういう意味? わたしの頭の中は今、「?」でいっぱいだ。っていうか論点ズレてない?「絢乃さんは誰彼構わず愛嬌振りまきすぎなんです! あなたはあざとさ抜きに可愛いんですから、男がそれに釣られてホイホイついて来るのが分からないんですか!? あと、スキだらけで狙われやすいっていうのも自覚ないですよね!?」「……う、うん」 わたしも勢いにつられて頷いてしまったけれど、貢の熱弁がスゴすぎる。そして顔が耳まで真っ赤だ。「ちょ、ちょっと貢! 落ち着いて!」「…………僕は、他の誰にもあなたを取られたくないんです。自分でも信じられないんですけど、僕の中にもこんな……独占欲みたいな感情があったなんて。情けないですよね」 わたしも信じられない。この夫の中にも、そんな感情があったなんて。 そういえば、彼は昨年の秋、わたしが調査を依頼した探偵さんと浮気してい
「――さて、次はどこに行こう?」 スマホをバッグにしまい、シティループバスのパンフレットを広げ、行先を考えていると……。「――なぁなぁ、そこの可愛いお姉ちゃん。ひとり?」「オレらと一緒に茶ぁシバかへん?」 どう聞いても関西弁の若い男性二人組が、馴れ馴れしくわたしに声をかけてきた。 タイプとしては、お義兄さまによく似た感じの人たちだ。どちらも茶髪で、ヤンチャな雰囲気というかチャラチャラしているというか。「……はい? わたし……ですか?」 「そうそう、キミや。イケてるお姉ちゃん、どっから来たん?」「……あれ? キミ、どっかで見たような顔やな。どこやったかな……」「あー……、えっと。東京からですけど。観光で。……あの? お二人は地元の方ですか?」 わたしには、関西弁なんてどれも同じようにしか聞こえない。だから、この二人のこともそう思ったのだけど……。「そうそう。オレらも神戸のジモティーやで♪」「なんでやねん、お前! オレら、尼崎の人間やんけ」「…………はあ」 いきなり漫才のようなやり取りを始められ、わたしは首を傾げるしかない。ちなみに、尼崎市は兵庫県の南東部にある市で、大阪府との境にある。「もう、そんな細かいことどうでもええやんー。なぁなぁ、オレらと遊ぼうやー
――わたしが現金で支払いを済ませ、〝にしむら珈琲店〟を後にしたわたしたち二人は最寄りのバス停から再び〝シティループバス〟に乗り、遠回りの末に南京町に辿り着いた。 メリケンロード沿いのバス停で下車し、長安門をくぐった先には、異人館街とはまた違う異国情緒漂う町並みが続く。今度は情熱的な中国へ一瞬でワープしてきたようで、赤や黄色などの原色や、中国風の音楽が溢れかえっている。「――さて、まずは老祥記の豚まんから攻めよっか。人気あるみたいだし、売り切れてないといいんだけど」 わたしたちが目指す〝老祥記〟は十二支像で有名な南京町広場の西側にあり、ここは元祖豚まんの専門店として全国的に知られていて、数多くのガイドブックにも載っている。また、焼き小籠包も名物らしい。「――すみませーん! 豚まん六つと焼き小籠包二人前、お願いします」 ここはイートインもあるので、わたしたちは店内でオーダーした。お冷やを飲みながら、お店や町の雰囲気を味わう。――二人とも、お腹がペコペコだ。さっき食べたピザトーストなんか、もうどこへ入ったか分からない。 中華料理店やその食材、中国茶や雑貨を扱うお店が多く建ち並ぶこの町には、独特の活気が溢れている。店先に立ちのぼる蒸籠の湯気、漂ってくる食欲をそそるいい香り、リズミカルな発音の中国語、二胡や太鼓などの中国楽器で奏でられる音楽……。「ここは本当に日本なの?」と思ってしまう。 今日は平日なのでそれほど賑やかというほどでもないけれど、休日や春節の頃にはもっと賑わうんだろう。その頃に、また来られたらいいな。「――お待たせしました」 店員さんが、できたてのアツアツを持ってきてくれた。豚まんは小ぶりなサイズで、一人で三つは軽く食べられそうだ。
「ブレンド一杯六百円……。マジっすか!」 ごく一般的な家庭に生まれ育った彼には、そのお値段が信じられないみたい。思わず自分の財布を取り出し、中身の心配をし始めた。「……貢、心配しなくても払うのはわたしだから。お財布しまいなよ」「はい……」 とはいうものの、わたしも現金の手持ちは心許ない。カードで支払うこともできるらしいけれど、貢はわたしがブラックカードを使う場面を見るたびに萎縮してしまうので、できればあまり使いたくない。「わたしも、コンビニのATMでちょっとお金下ろしとく。たまには現金も使わないとね」 わたしたちはゆっくりと坂を下っていき、途中にあった手近なコンビニのATMで現金二十万円を引き出した。ちなみにこの北野周辺のコンビニは、街の景観によく溶け込んだ外観になっていてオシャレだ。「――はい、これは貢の分」 わたしが半分の十万円を差し出すと、彼は目をしばたたかせた。「えっ? ……いいんですか?」「いいから持っときなさいって。わたしの口座のお金だって、もう夫婦の共有財産なんだもん。そのうち家族カードも作るから。遠慮しないで使って」 彼は彼なりに欲しいものがあったり、お土産を買って帰りたい人がいたりするかもしれない。だからこそ、自由に使えるお金があった方がいいのだ。「……じゃあ、遠慮なくもらっときます」 彼はまだ遠慮がちにだけど、十万円のお小遣いを自分のシンプルな黒い長財布にしまった。「――いらっしゃいませ」